皮膚科的な耳(外耳)のトラブル

イメージ写真:新緑
耳の皮膚炎

耳の皮膚炎は治りにくい

右はアトピー性皮膚炎に伴う耳垂の皮膚炎の例

耳(外耳、耳介)は顔の両側にあって頭髪に覆われている場合もあり、頭の両側に突き出しているという位置と形の特性から、皮膚炎にいったんなると治るまでに時間がかかります。耳の皮膚炎には次のような特徴があります。

  • 日光の紫外線による皮膚炎(急性の日焼けや慢性の皮膚の変化)が起こりやすい場所です。
  • 髪につける整髪料やシャンプーなどによる慢性の皮膚炎が起こりやすい場所です。
  • 毛染めの染料などによるかぶれが起こりやすい場所です。頭皮に症状があまりなく、生え際や耳だけがかぶれることもあります。
  • メガネやマスクのゴムなど耳にかけるものの素材によるかぶれが起こりやすい場所です。
  • イアリングやピアスなど耳につける装身具によるかぶれやトラブルの多い場所です。金属アレルギーのこともあれば、キャッチの締めすぎなどによる場合もあります。
  • 花粉症などによる季節的な皮膚炎が、特に外耳道(耳のあな)に生じることがあります。
  • 頭皮と連続して起こる皮膚炎や感染症が耳に及ぶことがあります。
  • 耳の水虫は意外に気づかないものです。痒くないこともあります。
  • 耳かきなどの刺激や細かい傷に起因する外耳道の皮膚炎でかゆみを生じることがあります。
  • 耳にヘルペスや帯状疱疹ができることがあります。

耳(外耳、耳介)に異常を感じたら、市販の塗り薬などを試す前に、皮膚科の診察を受けてください。

耳の皮膚炎の治療のポイント

  • 思いがけないものが原因物質となっていることがあります。まずは思いつく限りのものはいったん中止します。
  • 毛染め剤などの他、使い慣れたシャンプー、ヘアスプレーなども原因になり得ます。特に長い間日常的に使用していたものが原因となる場合は、気づきにくいため使用を中止せず、なかなか治らないことがあります。
  • 原因を探るため皮膚の一部を軽く削って調べたり、アレルギーの「血液検査」をすることもあります。ただし血液検査ではっきりと結果の出るものはそれほど多くありません。
    実際に使っている毛染め剤などによるパッチテストが必要なことがあります。
  • パッチテストは当院では行なっていませんが、信頼のおける医療機関をご紹介しています。パッチテストでは、どのような症状が出たら陽性と判断するか、の経験と技量が重要です。同じ症状を別の医師が判定すると結果が異なることもあります。
  • 原因物質が分かれば避け、消炎や保湿のために外用剤を使用します。内服が必要なこともあります。症状の出方によっては、他の病院などの専門施設(皮膚科、耳鼻科、その他)をご紹介することもあります。

耳の接触性皮膚炎

刺激物質またはアレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)によって、耳の皮膚が炎症を起こし、水疱ができたり赤くただれたりします。
頭皮や髪につけたものによって、頭の中にはかゆみがないのに耳だけかぶれることもあります。
原因物質との接触を避けないと、繰り返し症状が起こり、徐々に重症化することがあります。

治療法は原則的に体や顔の皮膚炎とほぼ同じですが、耳の特性上治りにくいことがあります。

ほとんどの皮膚炎は塗り薬と内服薬で治療しますが、外科的な処置や皮膚をこすったり切り取ったりする検査が必要な場合もあります。

耳のアトピー性皮膚炎

耳のアトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎の症状の一つとして耳に治りにくい皮膚炎が続くことがあります。
写真は耳の穴の中にも赤みが広がり、痒みのある状態です。真菌感染を起こしていることもあるので皮膚を擦って調べる検査も必要です。

  • 慢性化すると皮膚が厚くなり、黒ずんでくることもあります。
  • 短期間で治癒する病気ではないので、同じ医師の下で長く治療を継続する事が最も大切です。
  • アレルギーの血液検査などで原因を探りますが、症状とは必ずしも一致ないことがあります。
  • 季節性があるので、悪くなる時期を把握しましょう。
  • のみ薬などがあっていないと思ったら、勝手に中止したり、医師を変えたりせず、処方した医師に必ず相談する事。
  • 転医するときは、今までの治療法などを書いた紹介状をもらう事。

アレルギー科のページも参照してください

耳の脂漏性皮膚炎

頭部や生え際など耳の近くの皮膚が慢性の炎症を起こし、水疱ができたり赤くただれたりします。
毛穴に常在する真菌などが皮脂を分解し、炎症物質を作り出すのではないかと考えられています。

  • 体質的なものといってもよく根気よく治療を続ける必要があります。
  • シャンプーや髪の洗い方などを工夫することで改善することもあります。
  • アレルギーの「血液検査」などは必ずしも有効ではありません。
  • 基本的には炎症をおさめる外用剤での治療が中心となります。

耳の水虫

治りにくい慢性皮膚炎だと思って市販の外用薬などを付けていたが、実は水虫菌がついていた、という場合もあります。
身体の他の部位にあったものがうつることもあります。耳の穴の周囲などの赤いかぶれは要注意です。

  • 診断をしっかりつけることが大切です。皮膚科専門医の検査を受けましょう。
  • 赤みやかゆみは徐々に改善しますが、比較的治療に時間がかかります。
  • 身体の他の部位にもできていることがあるので診察を受けましょう。
ピアストラブル

金属アレルギーであることは少ない

イアリングやピアスなど耳につける装身具によるかぶれやトラブルの多い場所です。耳たぶがピアスやイアリングでかぶれて赤くなり、じくじくしてきても、金属アレルギーとは限りません。キャッチの締めすぎなどによる場合もあります。

ピアスを装着するときのちょっとした注意点や習慣を守るだけで、問題なくピアスをつけ続けることが可能な場合もあります。まずは診察を受けてみてください。

ピアストラブルの軽度のもの(ピアス穴から膿が出る、穴の周囲が腫れて痛い、ピアスが通らないなど)は内服薬(抗生剤や消炎剤)と皮膚科的処置(シリコンチューブ留置や洗浄、軟膏処置など)で治まることもあります。
不良肉芽が生じたり、ピアスホールが裂け、ちぎれてしまったものなどは、手術が必要となります。ピアスによる耳切れを参照してください。

チャームアップピアッシングのページを合わせてご覧ください。

耳の粉瘤

元からあった小さなできものなどが腫れた場合

耳にできた痛いできものの項を参照してください。耳垂(耳たぶ)にあった小さなしこり(粉瘤、表皮嚢腫等と呼ばれるものです)が腫れることが多いですが、生まれつきある耳前瘻孔などが化膿したり、ピアスホールなどが感染を起こしたりすることも稀ではありません。
ピアストラブルで発生したケロイドが比較的短期間に大きくなることもあります。

下の「耳の粉瘤」の項も併せてお読みください。

スポーツ外傷や打撲などによって突然腫れて痛い場合

柔道耳

多くは強く耳を打つなどのきっかけがはっきりしていますが、アトピー性皮膚炎などで耳を掻いていたら腫れてくることなどもあり、原因がはっきりしないものもあります。
大抵の場合耳の上部の縁のあたりから痛みを伴って膨らみ、耳介血腫として耳鼻科等で血を抜いてもらうと一旦小さくなるがまた再発することが多いです。血ではなくリンパ液の溜まった耳介偽嚢腫のこともあります。耳介偽嚢腫の場合は、痛みが特にないのにいつの間にか腫れることもあるので注意が必要です。

柔道耳

この状態で長年放置され、軟骨が増えて硬い塊になったものがいわゆる柔道耳(保険病名:花キャベツ状耳、カリフラワー耳)と呼ばれる状態です。体質によってなりやすい人があります。
3週間以上たったものは圧迫等では改善しないため手術が必要とされています。

下の「耳介血腫・耳介偽嚢腫」「いわゆる柔道耳」の項もお読みください。

全体がむくんだように腫れてきた場合

耳介の浮腫は皮膚炎やアレルギーに伴って起こる場合があります。ステロイド等を含む比較的強力な内服治療が必要なことが多いです。上の「耳の皮膚炎」の項もお読みください。

耳(外耳、耳介)に異常を感じたら、市販の塗り薬などを試す前に、皮膚科の診察を受けてください。

耳のイボやシミ、脂漏性角化症

耳のいぼ

基本的には耳介皮膚表面ののできものは形なりに全切除して病理組織検査を行った方が良いと思います。

小さなイボは尋常性疣贅など診断がはっきりしていれば凍結療法(いぼ等冷凍凝固法)やレーザー治療(自費 1箇所あたり3,000円程度)でとってしまうことができます。
稗粒腫(1ミリ程度の小さな白いできもの)などは診察室で小さく切開して圧出処置することもあります。(保険治療の範囲で、治療費は数百円です。)

凍結療法も保険診療で、自己負担が数百円ですみ、診察室ですぐ行えるので簡便です。
麻酔は必要ありませんが、凍結後にやけどのような軽い痛みがしばらく残ります。
一度で取りきれないことが多く、数回通院していただきますが、2回目以降の治療費も数百円になります。

皮膚皮下腫瘍のページも参照してください

日焼けによる炎症後の花弁状色素斑(いわゆる老人性のシミ)など、シミ用のレーザー(自費)で治療できる場合もありますが、耳のシミと思われているものの多くは脂漏性角化症などイボに近い少し盛り上がったものです。時には一部が「皮角」として硬く薔薇のとげのように突き出してくることもあります。
レーザーで削り取ったり凍結療法で摘出したりする必要があります。盛り上がりの強いものは悪性化を疑って切除する方が無難です(特に高齢の方)。大きく切除した場合、欠損を塞ぐために植皮(皮膚移植)や皮弁作成術が合わせて必要になることがあります。

悪性腫瘍(皮膚癌)のこともあります

脂漏性角化症とよく似た悪性腫瘍には、有棘細胞癌・基底細胞癌等があります。
脂漏性角化症はシミのように大きく広がることもありますが、イボ状に褐色のやや硬いできものとして多発することがあります。その中の一部が皮膚癌の一種(有棘細胞癌や基底細胞癌)となったり、最初から癌としてシミやイボのような形で発生することもあります。
良性と判断して凍結療法を行ってもたびたび再発する場合は、その時点で悪性を疑って手術をお勧めすることがあります。詳しくは下の耳の皮膚癌の項を参照してください。

耳(外耳、耳介)に異常を感じたら、市販の塗り薬などを試す前に、皮膚科の診察を受けてください。

できものの多くは粉瘤(表皮嚢腫・毛包嚢腫)です

耳の粉瘤

多くは耳たぶに、以前からあった小さなしこりが急に腫れて大きくなったものです。切開が必要なほど化膿している場合は少なく、ひとまず抗生剤と消炎鎮痛剤を内服してもらうと収まるものが大半です。(背中、お尻などでは放置して大きく腫れ、その場で切開が必要な場合が多いです)

粉瘤でない場合やピアストラブルなどに合併した場合は切開排膿やピアス穴にシリコンチューブを通すなど何らかの処置が必要となることがあります。多くは局所麻酔までは必要ありませんが、治るまで日数を要することがあります。

ピアスホールにできたケロイド(赤く盛り上がって硬いできもの)が痛む場合は、切除しないと症状が改善しないこともあります。ピアスケロイドは正しい処置をしないと再発を繰り返して大きくなり、切除しても耳の変形を残すことがあり、難しい治療になってしまいます。

耳(外耳、耳介)に異常を感じたら、市販の塗り薬などを試す前に、皮膚科の診察を受けてください。

耳のできものや腫れを改善する手術

耳たぶや耳の裏側、周囲の皮膚などは「表皮嚢腫(毛包嚢腫、粉瘤、アテローマ、俗に脂肪のかたまり、脂肪腫などと呼ばれることもあります)」ができやすい場所の一つです。
耳にできる腫瘍の中では最もポピュラーなもので、耳垂(耳たぶ)に多発することもあります。
直径1ミリ程度の小さいものまで含めて数十個一度に摘出することもあります。
腫れや痛みがなければ比較的簡単に摘出でき、多発したものを一度に摘出する場合を除き、費用も保険適応3割負担で1万円程度です。

大江橋クリニックでは、平日の午後1時半頃からの手術時間に予約で治療を行なっています。
予約日は通常1ヶ月程度先になります。予約金2,000円(税別)を頂戴しています。
手術当日は車の運転、入浴はできません。翌日再診していただき、問題なければ入浴や洗髪は可能になります。
通常1週間後に抜糸、2週間後に病理結果の説明を行います。傷跡が綺麗になってくれば通院は終了となります。

粉瘤の二次感染

耳たぶの腫れる原因の多くはこれです。もともとあった粉瘤に細菌感染が起こると、数日で赤く腫れ、痛みや排膿を伴うこともあります。
通常はまず抗生剤を内服してもらいますが、皮膚が破れたり排膿している場合は応急の皮膚切開などが必要になります。(皮膚切開術、創傷処置など)

赤く腫れている間は根治的な手術ができません。切開排膿は一時的な効果しかなく、いずれ再発します。

根本的な手術は赤みが治まって腫れが引いてから、しこり全体をきれいに切除します。
腫れたことがなくても、小さなしこりでも、いずれ腫れる可能性があるので切除をお勧めします。

耳(外耳、耳介)に異常を感じたら、市販の塗り薬などを試す前に、皮膚科の診察を受けてください。

生まれつきあることもあれば(先天性色素性母斑)大人になってから発生することもあります。
盛り上がって目立ってきてから受診されることが多いのですが、盛り上がったものは原則的に手術で切除します。(レーザーは小さなほくろに向いています。大きなものはとりきれずに再発することがあり、傷痕も目立つことがあるのでお勧めしません。)
耳の表面や縁に発生した比較的大きなホクロは、切除するとその部分の皮膚が欠損した状態になり、無理に縫おうとすると耳介が変形します。可能であれば周辺の皮下を軟骨から剥離して皮膚を動かし、変形しないように再建します(皮弁作成術)。耳の裏側の皮膚を皮下トンネルを通して前面に出して縫合することもできます(皮下茎島状皮弁)。それが難しい場合(軟骨の面など)では、裏側の皮膚を切り取って前面に皮膚移植(全層植皮術)することもあります。費用は、単純に切除縫合した場合、保険適応3割負担で1万円以下です。皮弁術や植皮術を同時に行なった場合、3〜4万円程度かかることがあります。

大江橋クリニックでは、平日の午後1時半頃からの手術時間に予約で治療を行なっています。
予約日は通常1ヶ月程度先になります。予約金2,000円(税別)を頂戴しています。
手術当日は車の運転、入浴はできません。翌日再診していただき、問題なければ入浴や洗髪は可能になります。
通常1週間後に抜糸、2週間後に病理結果の説明を行います。傷跡が綺麗になってくれば通院は終了となります。

ホクロに似た腫瘍のこともあります

ホクロと同じように見える黒いできものが悪性腫瘍である場合もあります。最初から疑わしい場合はいきなり手術せずに大学病院等をご紹介することもありますが、通常はまず安全圏をとって少し大きめに周りの正常皮膚をつけて切除し、病理検査します。
切り取った部分が大きい場合、通常は他の部分から採取した皮膚を移植して塞ぎます(全層植皮術)。人工皮膚を用いる場合もありますが、この場合は必ず後日再手術が必要となります。
疑わしい場合、安易にレーザー治療や凍結療法などを行わないことが大切です。

ホクロのページも参照してください

多くはピアストラブルに伴って耳垂(耳たぶ)や耳輪(耳の縁)に沿って発生します(ピアスケロイド)。その他、外傷ややけどによるものもあります。
粉瘤と紛らわしい場合もあり、時には合併することもあります(ケロイドの中心に粉瘤があることがある)。

盛り上がって目立ってきてから受診されることが多いのですが、硬く盛り上がったものは原則的に手術で全切除します。(レーザー治療は現時点ではお勧めしません。ステロイド注射が学会で推奨されていますが、注射単独では完全に治すことは困難な上、正常部分との境界が不明瞭となり手術治療が非常に難しくなるため避けて欲しい治療法です。)
完全摘出すると再発することは稀ですが、正常部分との境界が曖昧で取りきれずに(特にステロイド注射を受けていた場合)取り残した部分から再発することがあります。術後の長期フォローと内服治療や圧迫治療などが必須です。再発した場合、しばらく内服療法などで治療した後再手術を行いますが、術後に放射線治療などが必要になる場合があり、その際には大学病院等の専門施設をご紹介することになります。

ケロイド(特に軟骨面を貫通して裏と表にまたがるケロイド)は切除と再建に技術を要するため、通常の皮膚皮下腫瘍でなく、耳介腫瘍摘出術として算定します。術後に大きく皮膚欠損が残るような大きなケロイドの場合、皮弁術や植皮術を用いて耳介を再建する必要があり、その場合にはその術式に応じて費用が加算されます。通常、保険の3割負担で3〜5万円程度かかると思います。多発した場合はもう少し高くなります。

大江橋クリニックでは、平日の午後1時半頃からの手術時間に予約で治療を行なっています。多数のケロイドを同時にとる場合や再建に時間がかかることが予想される場合は、水曜午前からの手術日に予定させていただくことがあります。
予約日は通常1ヶ月程度先になります。予約金2,000円(税別)を頂戴しています。
手術当日は車の運転、入浴はできません。翌日再診していただき、問題なければ入浴や洗髪は可能になります。
通常1週間後に抜糸、2週間後に病理結果の説明を行います。傷跡が綺麗になってくれば通院は終了となります。

柔道耳などの硬く盛り上がった変形も、治療経験上、その一部は耳介ケロイドの場合もあると考えられます。

軟骨や皮脂腺、その他の皮膚付属器から発生する悪性腫瘍もありますが非常に稀です。当クリニックでは今の所経験がありません。耳の皮膚から発生する悪性腫瘍としては、以下の3種類が比較的頻度が高く、治療経験もあります。

  • 基底細胞癌:比較的多く見られますが悪性度は低く、完全切除できると再発しません。脂漏性角化症やシミ、いぼと誤認されることが多いできものです。
    通常は良性腫瘍として摘出後に、病理検査で診断されることが多く、従って手術料等は普通のできものをとる場合と同じく数万円の範囲で収まります。
  • 有棘細胞癌:これも上記とよく似ていますが、少し悪性度が高くリンパ節転移などが見られることがあります。切除する場合、周囲を広く大きく深く摘出する必要があります。進行度によっては化学療法など他の治療も必要になることがあり、全身検索のため多くは大学病院へのご紹介になります。
    最初から悪性を疑う場合は、手術に踏み切る前に専門施設をご紹介することが多いです。
  • 悪性黒色腫:小さいうちから遠隔転移などが見られる悪性度の高い腫瘍です。完全切除できたと思われても長期フォローが必須なため、このがんを強く疑う場合は、通常は最初から専門施設をご紹介しています。

耳(外耳、耳介)にできものを見つけたら、レーザー治療などを試す前に、皮膚科の診察を受けてください。

変形した耳の形を修正する手術

耳介血腫

耳の軟骨は前葉と後葉の二枚が貼り合わされたようになって形成され,、その周囲をぴったりとラップしたように軟骨膜が覆っています。
打撲やスポーツなどの強い衝撃を契機として、刺激によって軟骨と軟骨膜の間に出血すると、軟骨膜の内部に血が溜まり軟骨も変形して膨れてくる事があります。軟骨膜が内側から圧迫されて強い痛みを生じます。

きわめて早期であれば、内部の血液を抜き、麻酔の注射をして裏と表からキルティングのように糸で縫い合わせる事で元に戻すことができます。(残念ながらこの治療法は保険適応の項目がありません。溜まった血を抜く処置しか明示的に認められていません。)
圧迫しておく期間は最低2〜3週間は必要です。時々、お医者さんに指で押さえておけといわれた、とか、スポンジをテープで止めて明日まで外すなと言われた、とかいう患者さんがいるのですが、そんなに短時間でくっついてしまうような簡単なものではありません。縫合しない場合、何度も再発することが少なくありません。

再び血が溜まらないように皮膚と軟骨膜の一部を切除して穴を開けておく事も有効な手段ですが、血が流出してくるためガーゼを当てるなど術後の処置が煩わしいことが多く、また通常比較的目立つ傷が残ります。(これは保険適応があります。耳介血腫開窓術)

時間が経ってしまった場合

ある程度時間が経つと、血液の細胞成分が破壊吸収されるとともに、軟骨膜の直下に新たに薄い軟骨ができ、永続的なカプセルが形成されて中に体液がたまった状態が続き、「嚢腫(袋のできもの)」のように安定化してしまいます。更に内部の軟骨細胞が増殖して塊状の軟骨を形成し、いわゆる柔道耳のように変形することもあります。

こうなると、軟骨の一部を切除して形よく削りなおし、耳の形を再建する必要も出てきます。
このような場合、耳介形成手術として健康保険を適応して良いと考えています。しかし、保険適応が認められるかどうかは保険者(支払い側)の意向もあり確定したものではありません。(現在のところ、当クリニックで手術した場合、詳細なコメントをつけることにより保険適応が認められています。)

耳介偽嚢腫

手術例(前葉の軟骨を切除して皮膚を戻し、完治した)

これと似た疾患に「耳介偽嚢腫」があります。臨床の現場では、耳介血腫と区別されずに治療されていることが多いようです。しばしば混同されて記述がちぐはぐになっていることがあり、耳鼻科医のサイトや医療専門のサイトでも両者を区別しないためわかりにくくなっている場合があります。

1966年にEngel D.が世界で初めて報告したもので(Pseudocysts of the auricle in Chinese. Arch. Otolaryngol. 83:197-202 1966)、日本では1987年に小宗らによって初めて報告されました(耳鼻と臨床 33:789-791 1987)。特にはっきりした外傷の既往がなくても起こり、いわば突然耳が腫れてくるもので、内容液も血液ではなく黄色調透明ないわゆるリンパ液です。無痛性のことが多いようです。更に内部の細胞が増殖して不完全な軟骨を形成し、いわゆる柔道耳のように軟骨の塊を形成することもあります。(下の柔道耳参照)
軟骨細胞から放出されるLDH4, LDH5, IL-1, IL-6 などにより、慢性の炎症による軟骨破壊と軟骨増生が同時に起こり軟骨内に隙間ができる(intracartilagenous space formation)ことが誘因になるという説があります。表と裏の2枚の軟骨が剥がれてその間に液体が溜まるのが特徴です。(耳介血腫では出血部位は軟骨膜と軟骨の間です。軟骨の中には血管がないため、基本的に軟骨の内部に出血することはありません。)内容液を完全に抜いて長期間しっかり圧迫できれば治るようですが、時間の経ったものは瘢痕化していることが多く、膨らんだ前面の軟骨をきれいに切除することが治療の決め手になります。

このような場合、耳介形成手術として健康保険を適応して良いと考えています。しかし、保険適応が認められるかどうかは保険者(支払い側)の意向もあり確定したものではありません。(現在のところ、当クリニックで手術した場合、詳細なコメントをつけることにより保険適応が認められています。)

※ 耳介軟骨膜炎

耳介血腫や耳介偽嚢腫に続発して、感染などの強い炎症が起こり、軟骨が溶けて吸収されてしまうことがあります。軟骨膜炎そのものは強力な抗生物質や消炎剤を投与することで収まりますが、軟骨内に血管が無いことや細菌と白血球の戦いの場となる結合組織が貧弱であることなどから、治癒するまでに時間を要し、その間に軟骨が高度に変形することがあります。

変形した耳介軟骨は切除したり削ったりして形を整えますが、軟骨移植術が必要になることもあります。

この症例では崩れた耳介軟骨の位置をずらして形を整えましたが、支える力が不足してやや後戻りしてしまいました。

ICD10分類 > M00-M99 筋骨格系及び結合組織の疾患 > M95-M99 筋骨格系及び結合組織のその他の障害 > M95 筋骨格系及び結合組織のその他の後天性変形 > M95.1 花キャベツ状耳

Cauliflower-ear deformity(カリフラワー耳)は,正式病名を「花キャベツ状耳」と言いますが、別名柔道耳,相撲耳(力士耳)、レスラー耳( wrestler’s ear)などともいわれ,形状から俗に餃子(ギョウザ)耳などとも呼ばれます。
上記の格闘技のほかラグビーなどの球技や事故、膠原病や血液疾患、飲酒後などに硬い床で寝る習慣などでも生じ、また特に誘因のはっきりしないものやアトピー性皮膚炎による掻爬に続発するもの(カリフラワー耳を生じたアトピー性皮膚炎症例の1例 角ら 耳鼻咽喉 72-12:839-842 2000)などもあります。
アトピー性皮膚炎によって起こったと思われる症例は、大江橋クリニックでも数人経験しています。

反復する外傷により,軟骨膜と軟骨との間、または軟骨の割れ目を介して軟骨内の間隙に出血が繰り返され(耳介血腫)、炎症を起こしてその部分が徐々に線維化,瘢痕化,石灰化などするために、軟骨そのものも破壊と修復を繰り返して、細かく割れては盛り上がり複雑な変形が生じます。また私見ですが、体質的な原因によると思われる皮膚の肥厚性瘢痕もそれに加わって分厚い結合組織が軟骨を覆います。
硬くなって「柔道耳」化したものは形成外科的手術で軟骨や石灰化した瘢痕を切除しなければ治すことはできません。出血や打撲を繰り返したものでは見た目の軟骨の変形がわずかであっても、厚さが増し硬さが残り、圧迫すると痛みが生じるため寝返りが打てないなどの自覚症状が長年続くことがあります。

大江橋クリニックでは、耳介軟骨形成の手術に関しては平日午後の手術時間には難しいため、水曜午前から予定させていただくことにしています。柔道耳の場合、皮膚からのアプローチで軟骨を綺麗に露出するまでに時間がかかることが多く、手術終了まで3時間以上かかることもあります。軟骨を彫刻して耳の形を掘り出していくような手術になります。
予約日は通常1ヶ月程度先になります。予約金2,000円(税別)を頂戴しています。
手術当日は車の運転、入浴はできません。翌日再診していただき、問題なければ入浴や洗髪は可能になります。軟骨を削る手術はどうしても術後に痛みが出ます。鎮痛剤を処方しますが、当日翌日は触らなくても痛いです。痛みは日毎に少なくなります。
通常1週間後に抜糸、傷跡が綺麗になってくれば通院は終了となります。

※ 柔道耳の手術は、難しい

柔道耳の手術は、一言で言って難しいです。それは、手術直後は綺麗になったと思っていても、腫れが引いていくと徐々に変形してくることがあるからです。
耳の肥厚性瘢痕に関してはあまり資料がありませんが、体質的な原因が主体だと思っています。そもそも柔道耳になってしまうこと自体が、体質的なものかもしれません。
通常腫れが引いていく頃になって赤みが増し、腫れぼったく厚みも出てくる人がいます。数ヶ月経ってようやく赤みと腫れが引いてくると、ずっと腫れていた皮膚がしぼんで予期せぬところにシワが出てきたりして、予定の形になってくれません。手術を試験に例えると、100点取ろうと思って頑張るのですが出来上がりが80点の人も60点の人も出てきてしまいます。
様々な工夫で良い成績を目指していますが、今のところそれが現状であることを告白しておきます。

打撲により耳介血腫となった場合は、耳介血腫と同様な方法で治療ができますが、稀に虐待や職業性の繰り返す外傷によっt軟骨がバラバラに折れたり砕けてしまい、いわゆる柔道耳よりもさらに高度に変形してしまうことがあります。
柔道耳の治療と同様に治療しますが、折れた軟骨を丁寧に剥離して元に戻すことが可能であれば、比較的高度な変形でもなんとか耳の形態を改善することができます。不幸にして挫滅が強かったり新たに軟骨が増成している場合、削った軟骨のみでは材料が不足し、同じ側か反対側の耳から耳介軟骨の一部を切り取ってきて移植しなければならないことがあります。

現在のところ、こうした軟骨移植は保険適応が認められることが多く、耳介形成術と合わせて算定することが可能なようです。保険で手術した場合、耳介形成術+軟骨移植術+皮弁作成術(全層植皮術)で11〜15万円かかることがあります。

ピアス穴は前後に2つある

ピアスホールを閉じる手術を行っています。小さな穴ですが、手術に際しては前後にある穴の間をつないでいる薄い皮膚のトンネルを残さず摘出する必要があり、意外に難しい手術です。

  • 出来るだけ小さい傷で納めるため、通常は直径2ミリほどのパンチを使います
  • 穴の入り口が変形したりへこんだりしている場合、平らに戻すか、平らでない部分を切り取る必要があります
  • 細い皮膚トンネルを覆っているチューブ状の皮膚を残さず取り出す必要があります
  • 耳が変形しないよう、耳の表裏で縫合する方向を変える必要があります
  • あとで手術の傷の近くにピアスを開け直すことを考え、傷の影響が及ばないように治す必要があります
  • 万一表面が平らにならなかった場合、ヒアルロン酸などを注入して平らにするか再手術するか検討する必要があります

拡張したピアス穴は、切除方法も変わってくる

バーベルなどで拡張したり、トラブルで縦に長く伸びたピアス穴などは通常の方法では治せません。特に拡張したものは、周囲の皮膚も引き伸ばされて傷み、正常な皮膚とは伸び縮みの特性も異なっているため、そのまま縫い合わせても平らには戻りません。表と裏で別々にZ形成術やその他の皮弁術を行いますが、術後に傷が変形して縫合部がへこんだりすることがあります。

以前はピアスホールを残したまま一部を切り取って穴を縮小する手術を行っていましたが、創部にシリコンチューブなどを留置しておく必要があり、一度感染を起こすと抜かない限り治癒せず治療に難渋することがあります。このため現在では、一度完全に塞いでから開け治すことをおすすめしています。

ピアスホールの穴ふさぎは通常自費で行なっています。今のところ塞ぐ数によって費用を計算していますが、難易度や大きさによって決める方向を模索しています。現在も、拡張したものや切れたもの(切れそうなものも含む)は別の料金体系としています。
予約日は通常1ヶ月程度先になります。予約金10,000円(税別)を頂戴しています。
手術当日は車の運転、入浴はできません。翌日再診していただき、問題なければ入浴や洗髪は可能になります。
通常1週間後に抜糸、傷跡が綺麗になってくれば通院は終了となります。凹みや変形に関しては目立たないよう努力しますが、術後には何らかの「傷跡が残る」ことはご了承いただきます。

厚生労働省近畿厚生局や健康保険審査機関に問い合わせて確認したところ、ピアスによる耳切れの手術に健康保険を適用する事はできないとの返事をいただいております。
大江橋クリニックではピアスによる耳切れの手術に関してはすべて自費治療とさせていただいております。

ピアスによる耳切れは
「耳垂裂」(先天性のもの)には含まれません

健康保険上の「耳介形成手術(耳介軟骨形成を伴わないもの)」に規定されている耳垂裂とは先天性のものに限られるようです。したがってピアス耳切れの手術は通常自費となります。

  • ピアスによる耳切れは、次第に縦長になっていたピアスホールの端が徐々にちぎれそうに細くなり、ある日気づくと切れていた、ということがほとんどです。
  • 切れた時には痛みもなく出血もないのが普通です。外力(暴力等)によって引きちぎられることは滅多にありません。
  • 徐々にピアスの下側の皮膚が溶けては治っていくため、切れた断面は皮膚が張っていても傷跡の組織に置き換わっています。
  • 平らに見えても断面は丸みを帯びているため、そのまま縫い合わせても傷は綺麗になりません。耳たぶを元の丸い形に戻すのは簡単ではありませんが、切開のデザインを工夫することにより、丸い耳たぶを作ります。ケロイド体質の方を除き、傷痕もあまり目立たなくなります。
  • 通常は、傷跡の組織を切除し、周囲の皮膚をジグザグに切って皮弁を組み合わせ、形を整えて縫い合わせる必要があります。

一般的には傷の治療を優先し、ピアスホールを残すことはできません。完全に治ってから希望があれば新たに開けなおすことになります。

<編集中>

他院で行なった耳介手術の修正は原則として自費ですが、症状や事情によっては保険が適用される場合もありますのでご相談ください。

耳(外耳、耳介)に異常を感じたら、市販の塗り薬などを試す前に、皮膚科の診察を受けてください。

先天的な耳の形を変える手術

副耳、先天性耳瘻管(耳前瘻孔・耳後瘻孔)、耳輪埋没症、先天性耳垂裂、スタール耳、小耳症。
形成外科ではこうした耳の先天異常も扱います。原則的には保険適用となる手術が多いのですが、耳介形成手術に関しては明示されている病名が少なく、特に手術希望の多い「立ち耳」に関しては保険適用外とされています。

副耳は耳の前方に小さな硬い隆起として生まれつき存在することが多いのですが、稀に顎や首などかなり下の方に発生する場合もあり、こうしたものは「軟骨母斑」などと呼ばれることもあります。いずれも、皮膚の突起の下には耳介軟骨が存在することが多いです。
小さなものは「いぼ」と思われていることもあります。赤ちゃんの時に小児科などで外側の皮膚の部分だけを部分切除されていて、軟骨が皮下に小さく飛び出して触ることもあります。

  • 下に隠れている軟骨が正常な耳介軟骨とつながっている場合もあり、局所麻酔で摘出しますが思ったより時間がかかることがあります。小学生以下では長時間同じ姿勢を保つことが困難で局所麻酔では摘出できず、入院施設のある病院で全身麻酔が必要なことがあります。
  • 通常は手術後、耳の前に線状の細い傷が残ります。目立たず気にならない程度で治る場合がほとんどです。

副耳(介)切除術 健康保険適応の場合、手術料片側1カ所7,500円前後

先天性耳瘻管は生まれつき耳にある小さな穴で、多くは耳輪の始まり付近に開いた小さな穴(耳前瘻孔)として認められますが、耳の後部(耳後瘻孔)や耳たぶなどに存在することもあります。
この穴の中が感染を起こして耳の周囲が赤く腫れて痛無事があります。小学生ぐらいになってたびたび膿が出る、痛むなどのトラブルを起こすことが多く、可能ならば早めに摘出手術をお勧めします。
重症になると頬や首まで赤みが広がり非常に痛いことがあります。こうした場合まず抗生剤内服で炎症を引かせてから、原因となっている皮膚の管を完全摘出します。

  • 多くは瘻管の末端は閉じて盲端で終わっており、そこまで摘出すれば再発しませんが、稀に外耳道の奥の方まで瘻管が続いている場合も稀にあり、その際には一期的な摘出が困難で、後日再手術が必要になることもあります。
  • 化膿して排膿を繰り返していたような場合、皮膚が薄くなり広く傷んでいて皮膚ごと切除しなければならない場合もあります。こうした場合はやや複雑な手術となります。
  • 通常の耳前瘻孔であれば、耳の前に数センチの細い傷が残ります。小さな穴であっても奥が深いため、切開範囲は割合大きくなります。

先天性耳瘻管摘出術、耳後瘻孔閉鎖術 健康保険適応の場合、手術料片側1カ所12,000円前後
この手術は、瘻管が深くまで続いている場合や皮膚の広範囲切除が必要となるなど難易度が高い場合は、皮弁作成術など別の術式が追加される場合があります。

埋没耳の手術は難しい手術の一つですが、保険適応が明示されているため費用の面ではあまり悩まずに済みます。耳介形成手術単独の算定で、3割負担であれば60,000円程度の手術になります。
しかし多くの場合、耳は埋没しているだけでなく形成不全を伴ってやや小さく、また皮膚も不足するため手術料はもっと高くなります。(軟骨移植術、複合組織移植術、全層植皮術、皮弁形成術などの費用が「併施」として同時に加わるため。)
複雑な変形を治す手術の場合、保険適応の自己負担分として片耳で15万円程度かかることがあります。
比較的侵襲の強い手術で、時間もそれなりにかかります(片耳で1時間半〜3時間程度。)術後、麻酔が切れるとほぼ全員がある程度の痛みを感じます。終了直後に痛み止め、止血剤を含む術後のお薬を内服していただきます。

症状によっては、広い範囲の皮膚を剥離する必要があり、全身麻酔を必要とします。
大江橋クリニックでは全身麻酔の手術は行いませんので、このような場合は専門施設をご紹介します。

先天性耳垂裂は健康保険適応が認められています。
上記の耳介軟骨形成を伴う埋没耳に比べると費用は少し安くなりますが、複雑な形成を伴う場合は(全層植皮術、皮弁形成術などが加わるため)手術料はもう少し高くなります。

耳垂(耳たぶ)の形成手術の場合、通常局所麻酔のみで手術を行います。
軟骨形成を伴わない場合、術後に強い痛みを感じることはあまりありません。安心して手術をお受けください。

ピアスホールが拡張して2つにさけるピアス耳垂裂は、ピアスが原因となった二次的なものであり、外傷(暴力など)によって裂けたものでもないため健康保険の対象とはなりません。

お問い合わせが多いご相談ですが、その多くは「立ち耳の手術を保険でやっているか」というお電話です。
残念ながら現在のところ立ち耳の手術には保険を適用することができません。

他の医療施設では保険で行っているとの情報は多々耳にしますが、何か別の病名を便宜的につけて保険適応としているものと思われます。医師の好意とはいえ「診療報酬の付け替え請求(本来保険請求できない処置を、別の病名や手術名に付け替えて請求する)」という違法行為の疑いがあります。
 保険でやっている医療機関を教えて欲しいという問い合わせもいただきますが、上記のように個々の医師がこっそりと患者さんに便宜を図っているものと思われますので詳細を書くことはできません。

厚生労働省近畿厚生局や健康保険審査機関に問い合わせて確認したところ、単なる立ち耳の手術に健康保険を適用する事はできないとの返事をいただいております。
大江橋クリニックでは立ち耳の手術に関してはすべて自費治療とさせていただいております。

本当に立ち耳ですか?

ただし、患者さんの耳の状態が本当に「立ち耳」なのか、は診察を受けていただかないとわかりません。

耳介(外耳)の形には多くのバリエーションがあり、一見立ち耳のように見えても、スタール耳を代表としていわゆる先天性耳介形成異常の病名がつき保険適用できる場合もあるからです。
できれば一度診察を受けてください。診察のみであれば(治療を伴わない場合)保険の診察料のみで済むこともあります。

立ち耳の手術が健康保険の適応にならない理由

日本を含むアジア諸国では、文化的社会的に耳の形に関しては許容度が高く、立ち耳に関しても、特に子供の頃には「ミッキーマウスのよう」「おさるさんのよう」などと、むしろ「かわいらしい」「愛らしい」ものとして愛される傾向があります。
ヨーロッパでは人間と動物を明確に区別する宗教観から、動物の耳に似ていることは社会生活上著しい不利益を被りますが、日本で生活している限りそのようなことにはなりません。

最近ではヨーロッパ的な習慣が広まり、またピアスを着用する際に美しく見えないなどの理由から手術を希望する方が増えましたが、一般に社会生活上著しい不都合があるとは考えられないため、通常は健康保険の対象となりません。
大江橋クリニックで行っている立ち耳の手術法に関しては、立ち耳の手術(自費)のページをご覧ください。

  • スタール耳、その他の特殊な耳介変形を合併している場合は「単なる」立ち耳とは言えず、健康保険で形を修正する対象になると思われます。明確な規定はありませんが、大江橋クリニックで行なった手術に関しては、今のところ保険適応が否定されたものはありません。

立ち耳の手術(自費)のPC版解説ページ

他院の美容手術で変形した場合など

立ち耳の手術などは様々な術式があり、時には軟骨を折りたたむ場所が不適切だったり、左右で異なっていたり、特殊な手術でかえって変形したりといったことが起こります。

耳の写真

↑Googleによりショッキングなコンテンツとの指摘がありましたので、以前より更に彩度を落として掲載しています。

大江橋クリニックでは、まずできるだけ手術前の状態を復元し、折れた場合は平らに戻したり固定した糸を外したりしてから、自然にカーブさせる位置を探します。

軟骨は折り曲げるのではなく、木の枝を矯めるように柔らかく矯正することが大切ですが、そうした技術を持つクリニックは少ないようです。

耳介軟骨の再修正は自費になります。いったん元に戻してから再度曲げるという、時間のかかる手術になる関係上、基本的には通常の耳介軟骨修正料金の概ね50%増しになります。さらに軟骨移植が必要であったり、特殊な手技を必要とする場合はもう少し高額になる場合があります。

スタール耳の手術例

スタール耳の手術は、保険点数表に明示はないものの、今のところ健康保険で行うことが認められているようです。スタール耳の形状は様々ですが、一応の基準は通常は二股に分かれている対耳輪が三又に分かれて第3脚が存在することです。この第3脚がしっかり折り畳まれていると先端が尖った、この症例のような形になります。
この尖った部分は皮膚が非常に薄く、軟骨としっかりと接着しているため、はがすと穴があいてしまうこともあります。まず軟骨の形を修正してから、その上に皮膚をかぶせて丸い耳輪を作りますが、必ずしもきれいに丸く作れるとは限らず難しい手術の一つです。

  • 第3脚がくっきり折り畳まれておらず緩いカーブを描いているような時には、全体として立ち耳のように見えることがあります。しかし一般的な立ち耳の手術できれいなカーブを作ることが難しく、かえって変形してしまうこともあります。
  • いわゆる立ち耳(対耳輪の折り込みが不足して舟状窩が浅く広くなっているような耳)を「スタール耳」として健康保険で治療している医療機関もあるようですが、そのような事例が続くと本当のスタール耳の方が「立ち耳手術」と誤解されて保険適用されなくなる恐れがあるため、やめてもらいたいと思っています。
  • スタール耳の手術は軟骨の形を整える際に表側と裏側の両側から曲げていく必要があるため、時間のかかる手術になります。

折れ耳の手術は今の所健康保険が適応されています。

  •  

大きい耳を小さく、小さい耳を大きくする手術

耳輪(外耳の輪郭を作る縁取り部分)を一回り小さくする手術です。
軟骨の折り畳まれる位置をずらしたり、一部を切り取って重ね合わせたりして形を調整します。

小さな耳輪(外耳の輪郭を作る縁取り部分)を一回り大きくする手術も不可能ではありませんが、軟骨の量が足りないため移植が必要になります。一般の医療施設では肋軟骨や鼻中隔軟骨を取ってきて移植することが多いようです。
しかし耳介軟骨とは性質が異なるためいずれも一長一短です。できれば同じ側の耳介軟骨の一部を使い、位置を変えたり、一部を切って重ね合わせ、ずらしたりして形を調整したいところです。
しかし、その場合は使える材料に限りがあり、小幅な改善にとどまる可能性があります。

どれくらい大きいと異常と言えるのか

耳介縮小術は基本的には自費の手術となります。ただし異様な外観であるなど症状により保険が使える場合もあると思われます。
左右で大きさが違う場合はわかりやすいのですが、耳の大きさはもともと個人差が非常に大きいので、どこからが異常かと線を引くのは難しいものです(小さい方も同じです)。経験上、耳の縦径はおよそ6センチ程度を標準にプラスマイナス10%くらいの範囲にあれば異様には見えないと思います。横径は縦径の半分くらいです。
耳の穴の周囲の凹み(耳甲介)はおよそ2×2センチ程度が標準で、わかりやすい目安で言えば一円玉は入るが五百円玉は入らない程度だと思います。

  • 大きい耳は軟骨や皮膚を切り取って小さくできますが、切り取り方によって傷が残ります。自然に一回り小さくするのはなかなか難しい手術になります。
  • 小さい耳を大きくするためには、今ある耳の材料(軟骨と皮膚)を使って一回り大きなフレームを作るため、軟骨の位置をずらしたり、内側の軟骨を切り取って形を変え、外側に移したりする必要があります。皮膚は通常足りないので、耳の裏側の皮膚を動かして表側まで持ってくるか、一部皮膚移植が必要となり、事前に設計図をうまく作っておかないと目的を達成できなくなります。
  • 耳たぶだけを(軟骨を形成しないで)大きくしたり小さくしたりするのは、難易度はやや下がりますが、大きくする場合には材料をどこから持ってくるかが問題となります。詳しくは耳たぶの形を変えるの項をお読みください。

小耳症などに伴うものは保険適応可能と思います。美容的なものは自費になります。

原則的に大きな方の耳を
小さな方に近づけるほうが簡単です

軟骨の折れ込み方やカーブが異なるだけの場合は、耳介軟骨形成の考え方で対処できます。
しかし、軟骨や皮膚の量が異なる場合、移植して皮膚や軟骨の量を増やすのは困難を伴います。

極端に小さな耳は小耳症という分類になり、軟骨の移植が必須になります。

耳たぶを大きくする

小さい場合はヒアルロン酸などのフィラーを注入することによりある程度大きくすることも可能です。しかし、注入物での拡大は限界があります。
耳の裏から皮弁を作成して表側にずらすことである程度大きな耳たぶを作れます。

ただし、裏側の欠損を塞ぐため皮膚移植などが必要となることもあります。その場合、裏側の傷はある程度目立ちます。また、体質によっては術後に皮弁が拘縮して徐々に小さくなり、変形してくることもあるので、長期間のフォローが必要です。

フェイスリフトなどの美容手術で変形した場合なども、手術によって調整できます。

通常は自費の手術です。ただし高度な変形であったり治療により欠損や左右左などがある場合は保険の範疇で手術できると思われます。

耳たぶ(耳垂)が大きすぎたり小さすぎたりという場合に、皮膚と軟骨の位置をずらして耳の裏から皮膚を耳たぶに付け加えたり、特殊な切開で丸く整えて縫合したりする場合は、耳垂形成手術となります。

耳介軟骨の形をかえる手術

耳介軟骨修正手術は、耳輪、対耳輪、耳甲介などの耳介軟骨の各部分に手を加え、軟骨の折り畳まれる位置をずらしたり一部を削ったりして、形を整える手術です。

程度によりますが、社会通念上 異様な外観を呈するものは、詳細なコメントをつけることにより保険適応手術にしています。

耳輪(耳の縁)を太くする、強調する手術

耳輪(外耳の輪郭を作る縁取り部分)が薄く、きちんとロール状に巻き込まれていない場合は、軟骨の曲がりを調整して縁を作ります。通常は自費の手術です。
場合により軟骨移植が必要となったり、皮膚と軟骨の位置をずらしたりする必要があります。

逆にロールの巻き込みが深く、縁が太くなっている場合、それを細く調整することも不可能ではありません。軟骨の量が足りないこともあり、その際には一部を切って重ね合わせ、ずらしたりして形を調整することもあります。
曲がりのクセが強く、小幅な改善にとどまることもあります。

飛び出した対耳輪を低くする手術

耳輪(外耳の輪郭を作る縁取り部分)よりもその内側の対耳輪が外に飛び出していて目立つため、やや低くして形を整える手術です。
場合により、軟骨の折り畳まれる位置をずらしたり、一部を削ったりして形を調整します。このほか、耳の様々な部分の軟骨の曲がり方を微調整することができます。

上の症例ではイヤホンが外れやすいのを修正する手術の一環として軟骨の折れ曲がる位置を耳甲介の内側に移動させています。飛び出していた対耳輪をやや平らに矯正します。

同様の手技で、対耳輪の幅を太くしたり、逆に細くしたりすることもできます。

症状によっては耳介の表裏両方から軟骨を操作しなければならないこともあります。
軟骨膜切開やナイロン糸による矯正など様々な手法を組み合わせます。