【 完全予約制 】
腋臭症や脇汗、腋窩の傷跡に関する診療は現在行っていません 腋臭症手術、腋窩多汗症の治療、脇のかぶれ・色素沈着等の治療、腋窩のできもの(粉瘤、副乳等)の摘出等は大江橋クリニックでは行いませんのでお住まいの近くの形成外科や皮膚科等でご相談ください。副乳に関しては乳腺外科受診をお勧めします。
腋臭症手術 通常の経過と傷跡の例
上段術前と手術範囲のマーキング / 下段術後2日・術後3週目
腋臭症手術は現在は行なっておりません
他院で受けられる時の参考にしてください
腋臭症(わきが)を気にする方が増えています。
常染色体優勢遺伝で伝わるため、体質をお持ちの方は比較的多いと思われます。
しかし実際に手術治療まで必要な方は少なく、むしろ腋臭症とまで言えない方が不必要な手術を受けてその傷跡に悩むことがまれではありません。
術後安静と傷の管理が非常に重要なのにもかかわらず、術後の指導を受けていない方が多く見られます。
ひどい傷痕(肥厚性瘢痕など)になった場合、完全に綺麗な皮膚に戻すことは難しく、修正手術などを繰り返してもわずかな改善にとどまり、長期の通院が必要になることが多いものです。
術後の安静が何よりも大切です。可能ならば入院手術が良いと思います。また広範囲に徹底的にやろうと思わない方が早く赤みもひきトラブルの可能性も少なくなります。
有毛部皮膚切除法などといった、傷痕の大きく残る古い術式は現在あまり実施される事が少なく、健康保険では事実上、皮弁法のみが適応になると考えてよいでしょう。(以前皮膚切除手術を受け、まだ一部残存しているとか傷痕が残るという場合も、追加切除ではなく傷痕を形成外科的に治しながら残ったアポクリン腺のみを切除する方が良いでしょう。)ほかの術式では効果が乏しく気休め程度の結果に終わることが多いようです。
また美容外科等で選択されている超音波吸引法などは効果が不安定です。最近では内視鏡を用いた手術等も行なわれるようですが、費用対効果を考えると現時点でお勧めはできません。稲葉式などの皮膚を裏から盲目的に削り取る術式は、傷痕に悩んで受診される患者さんの多さを考えると、安易に受けるべきではないと考えます。
ボツリヌス毒素の注射が効果的であるかのような宣伝がなされていますが、機序を考えると効果は限定的であると思います。ボツリヌス毒素は多汗症の適応に関して保険適応が考えられているようですが、腋臭症(臭い)に関しては注射はあまり効果がないものと考えています。
腋臭症の手術にはさまざまな方法がありますが、通常は健康保険適応のある皮弁法で行う方が多いと思います。その他の方法であっても、腋下の有毛部(こい腋毛の生える部分)皮下を剥離し、毛穴付近にあるアポクリン腺を切除なり掻き取るなり超音波で破壊するなりして取り除くので、皮下に広く空洞ができます。そこに出血して「血腫」ができると、皮膚の壊死が起こったり瘢痕化したりして、醜い傷痕が残ってしまいます。
これを防ぐには、皮膚と皮下をきちんと密着させて、しっかりとくっつくまで通常は一週間以上安静に保たなければなりません。これを怠ると、多くの場合思いもかけない醜い傷痕が残ります。
できるなら着替えも手伝ってもらい、手術しなかった方の手で日常の作業をすべて行う必要があります。きちんと安静が保たれれば、抜糸したとき、傷があまり目立たないことに安心するはずです。一人暮らしの方、家事をしなければならない方には難しい条件です。しかし一旦傷がこじれると、人に見られることを躊躇うような傷が残ることがまれではありません。十分に条件を整えてから手術予約を入れましょう。
正常なアポクリン腺は1ミリ程度の米粒のような柔らかく白っっぽい粒で、腋毛の毛根にくっついています。臭いが強い人は、このアポクリン腺が大きくなっていて、肉眼的にも小さな葡萄の粒を敷き詰めたように皮下に広がっています。
皮弁法の手術では、これを実際に肉眼で見ながら一つずつ毛穴から摘み取っていく作業を丹念に行います。残された皮膚は1ミリほどの厚さで、ライトの灯が透けて見えるほどです。乱暴にやると厚さが不揃いになったり破れたりしますし。
ナポレオンがジョセフィーヌの体臭を愛したことは有名です。ひとは愛するものの匂いを不快には感じません。逆に嫌いな人の臭いは不快です。
子供が同級生をいじめるときは「臭い、臭い」とはやします。犬は犬嫌いの人の体臭を感じて吠えます。
自分は臭くはないかと悩む人の本当の悩みは「嫌われはしないか」という恐れです。
自分は嫌われていないという確信が持てる人は、自分の臭いにはあまり悩みません。生きている以上、動物である以上、人間は臭いますが、それこそが生きている証でもあるのです。
エクリン腺から出る汗は基本的には塩水です。汗腺は血液から体に必要な蛋白や脂肪を回収し、ほとんど塩化ナトリウムと水だけにして汗孔という穴から体外に捨てます。塩水なので基本的に臭いはありません。
ただし、スポーツをした後や緊張した時などに一度に大量に汗をかくと、回収が間に合わず大切な蛋白や脂肪も汗に出てしまいます。大雨の後の下水と同じです。これらの物質は時間が経つと皮膚に住む常在菌の餌として分解され、腐敗して臭くなります。
対策としては、汗をかいたら拭く。綺麗な水で洗い流す。服に染み込んだ汗は、あまり時間をおかずに洗う。これで大丈夫です。
大量に出る脇汗を減らすにはいくつかの治療法があります。
汗をかけという命令の経路に従って汗を防止する方法はいくつもあり、汗を減らす外用剤などの薬や訓練などで治療する方法もあります。
手術は不可能ではありませんが、腋臭の手術法とは全く違います。
誰でも大量にかいた汗を放置すれば臭くなるのは当たり前なので、それを腋臭と思い込まないことが大切です。
アポクリン腺からの汗が多い人は、統計上耳垢が柔らかくベタベタしていると言われます。こうした体質は遺伝するので、両親のどちらかがそうした体質であれば子供に伝わるのは当然です。ただし、症状には強弱があり、周囲の人に気づかれない程度の人から強く臭う人まで色々です。
職業によっては(例えば香料を扱うとか繊細な料理をサーブするとか)治療したほうが良いという場合がありますが、日本人の場合大抵の人は手術するほどではない軽度の症状です。
今まで診察室でご相談を受けている間に、これは治療すべきだと思った人はほとんどいませんでした。一割以下です。多くの人は思い込みであったり、自分ではわからないが人が顔を背ける、といった対人関係の問題を抱えている人です。思春期の子供の場合は、親がスポーツでかく汗を誤解している場合が多く見られました。
柔道着が汗臭いのはあたりまえだし、バレーボールの試合の後は誰でも汗の臭いがします。これは腋臭ではありません。
多くの方が不安商法に騙されています。腋臭と口臭は、自分ではなかなか正確に評価できないため、不安を煽られるとそうかと思ってしまいます。
日本人は清潔好きで有名で水も豊富に使えるので、ほとんどの人が可能であれば毎日入浴します。日に数回シャワーを浴びる人も稀ではありません。
ヨーロッパやアメリカ大陸などでは水が貴重なこともあり、最近まで毎日シャワーを使う人は稀でしたし、入浴習慣がない人もたくさんいます。アジア内陸部やアフリカなどでは一生入浴しない人もいます。
臭くないかといえばそれは臭いですが、人間は臭いものだというのが常識になっています。ですから上流社会では体臭を誤魔化すために香水を使うわけです。
香水と体臭とがミックスしてその人の個性になります。しばらく一緒に暮らしていれば慣れてしまいます。臭いを消す努力はあまりしないように思います。
ある程度の年齢に達すると汗の組成も変わり、いわゆる加齢臭がするようになります。また玉ねぎやニンニクなど、強い匂いの野菜を食べると独特の匂いが体臭に加わります。
寝不足やストレス、内臓疾患など体調が悪いと体臭も変化します。これらは一家英ですし変化も大きく、「ワキガ」と間違えることは少ないと思いますが、中にはこうした臭いを気にして悩む方もいます。
手術は万全の準備をして臨んでも、さまざまな原因でうまくいかないことがあります。できるだけ危険の少ない方法で行うべきです。
徹底的にアポクリン腺を除去しようとして深追いすると、皮膚が壊死したり、血腫になったり、瘻孔ができたりと行ったトラブルの危険が増します。元々臭いをゼロにすることはできないのだから、半分になったらOK、7割減ったら上出来と思いましょう。
手術は後日やり直すこともでき、傷がきれいに治っていれば他の部分からアプローチできる可能性もあります。一旦トラブルになってしまうと、きれいに治すことは非常に難しくなります。
手術の侵襲に伴い、しばらくの間はアポクリン腺の活動自体も抑えられるので、実際以上の効果をしばらくの間感じることができます。概ね半年から1年くらいすると手術したところの炎症が治り、自然な生理現象が復活するので、臭いもやや復活してきます。それが普通なので失敗したわけではありません。
元々無臭の人間はおらず、また悪臭とは強い臭いのことなので、匂いが弱まれば不快感はかなり減少してきます。ある程度の匂いが感じられてもそれが不快感を引き起こさなければ良いのだと考えて、あまり気にしなくて良いと思います。
皮弁法では必ず皮膚を裏返して直視下で見える部分のアポクリン腺を摘み取りますが、小さな穴から吸引する方法などでは見えない部分を手探りで傷つけていきます。血管も神経も見えない状態で、皮膚の厚さも正確に把握できないことがあります。当然神経損傷や出血の危険は多くなります。傷が小さいからといってきれいに治るとは言い切れず、穴の部分がケロイド化したり、穴とは違う部分が壊死したりします。
脇の手術は見た目より広範囲に皮膚を剥がすので、術後には安静を保たないと剥がした皮膚がうまくくっつかず、皮下出血が起こります。両側の手術を一度に行えば、両腕を動かせなくなりますから、普通の日常生活はできません。入院して食事や着替えも介助してもらうならば、安静を保つことができます。自宅で両腕の安静を保つのはほぼ不可能なので、傷の仕上がりはかなり悪くなります。
手術した側の腕は絶対安静が望ましいと思います。荷物を持つことはもちろん、着替えや食事にも使わないようにしましょう。最低数日間はないものと思って生活するくらいの覚悟が必要です。家族の人に着替えを手伝ってもらい、片手で食事をし、手術した側の手は一切使わないようにすれば、傷跡がきれいに治る確率が上がると思います。
傷が落ち着いた時まだ匂いが残っていると気になるかもしれませんが、傷が治るまでには紆余曲折があるものと思ってしばらく様子を見ましょう。半年ぐらい経っても特定の部分が気になるようであれば、様子を見てその部分を中心に手術をやり直すことができます。前の手術で傷がきれいに治っていれば、切開する中心をずらすこともできます。
<以下編集中>