眼瞼下垂症(先天性、老人性、腱膜性等も含む)

形成外科における眼瞼下垂の考え方 (眼科と違う診断基準)

 眼瞼下垂とは文字通り「瞼が下がってくる」状態を指しますが、その病態は様々で、手術適応に関してもいろいろな考え方があります。
 厳密には、瞼を吊り上げる「眼瞼挙筋」の機能が損なわれているかうまく伝わらないために、上眼瞼が角膜(黒目)の上に被さって視野が遮られる状態を指します。

  しかし、それほど瞼が下がっていなくても眼瞼下垂症手術の「相対的適応」と診断されれば、健康保険の範囲で手術を行なうべきだというのが、大江橋クリニック形成外科における眼瞼下垂の一般的考え方です。

 眼瞼下垂手術の結果については→写真と説明はこちら

眼瞼下垂の診察

 眼瞼下垂の診断法として、目薬を差したり、瞼におもりを貼付けたり、心理テストを行ったりする医療機関もありますが、大江橋クリニックでは原則的に臨床症状と瞼の動きをもとにして診断します。自覚症状も参考にしますが、ご本人の訴えのみで病名をつけることはありません。
 最近は、「眼瞼下垂です」とご自身で病名を決めてこられる方も多くなりましたが、その場合でも診察の上判断させていただきます。(診断がつきにくい場合や、他の病気が疑われる場合は、専門の眼科医等をご紹介し、受診していただきます。)

 最も大切と考えているのは、眼瞼挙筋の機能(下方視と上方視との動きの差)と眉の動きですが、その他上下の瞼の形態や眼輪筋の動きなども参考にしますので、診察時には瞬きをしたり上や下を見たり強く目をつぶってぱっと開いたりというようないろいろな動きを何度もしていただきます。
 また、物差しを当てて手術に必要な各部位の計測をさせていただきます。

眼瞼下垂の診断ポイント(一例)
  • 正面視の際の左右差
  • 瞼の下縁(まつげの生え際)が角膜に被さる量
  • 眉の位置と額の皺の程度
  • 眉と睫毛の生え際の距離
  • 重瞼ラインの位置と深さ
  • 瞼の上、眉の下の陥凹の程度
  • 下眼瞼のふくらみの程度と開瞼で増強するかどうか
  • 角膜下縁と下眼瞼上縁の距離(いわゆる三白眼の程度)
  • 上方視したときに瞳孔が隠れる程度
  • まばたきの頻度、眼瞼けいれんの有無
  • 瞼の皮膚の厚さや硬さ、脂肪の量、涙腺の位置 等々

診察のときにお聞きする大切なポイント

  • 子供の頃はどうでしたか? 家族に同じ症状の方はいますか?
  • 何年ぐらい前から気になってきましたか?
  • 最近写した写真の写り方はどうですか?
  • 朝と夜では症状の違いがありますか?
  • コンタクトレンズは使用していますか? 何年ぐらい使っていますか?
  • 花粉症やアトピー、瞼のかぶれなどの症状はありますか?
  • アイプチは使用していますか? マスカラはどうですか?
  • 重瞼手術を受けたことはありますか?
  • 視力はどれくらいですか? 左右差はありますか?
  • 肩こりや頭痛などの自覚症状はありますか?
  • まぶたのマッサージなど、強く擦っていませんか? 等々

眼瞼下垂の診断

一般的な眼瞼下垂の定義

 眼瞼下垂とは文字通り「瞼が下がってくる」状態を指しますが、その病態は様々で、手術適応に関してもいろいろな考え方があります。
 厳密には、瞼を吊り上げる「眼瞼挙筋」の機能が損なわれているかうまく伝わらないために、上眼瞼が角膜(黒目)の上に被さって視野が遮られる状態を指します。
 一般的に眼科では「視機能が損なわれる」ことをもっとも重視するため、角膜に瞼がどの程度被さってくるかを基準に、

  • 軽症: 黒目の上三分の一程度が隠れているが、瞳孔(ひとみ)は見えているもの
  • 中等症:黒目の中央付近まで瞼が下がり、瞳孔に瞼の縁がかかってくるもの
  • 重症: 黒目の半分以上を瞼が遮り、瞳孔が隠れて視野を得られないもの
のように分類します。従って、軽症のものや一見瞼が下がって見えないものは「眼瞼下垂ではない」「軽度で手術の必要がない」と診断されがちです。

代償 という考え方

 一方で、形成外科においては眼瞼下垂をより広範な病態としてとらえ、一見瞼があまり下がっていなくても、以下に述べるような症状が揃えば眼瞼下垂であると診断します。この場合、瞼が下がっていないのは、眼瞼挙筋の機能を周辺にあるその他の筋肉が肩代わりし「代償している」と考えるわけです。

眼瞼下垂に伴ってよく見られる症状(一例)
  • 眉の挙上と額の皺が、特に症状の強い側に目立つ
  • 眉と睫毛の生え際の距離が広くなり、やや眠そうな表情になる
  • 瞼の上、眉の下がくぼみ、特に開瞼したときに陥凹が目立つ
  • 下眼瞼のふくらみが開瞼で増強し、そこを軽く押すと上眼瞼がわずかに膨らむ
  • 重瞼ラインが乱れ、重瞼幅が広くなったり消失したりする
  • やや顎をあげてものを見るようになり、猫背になる。肩こりが日常的に起こる
  • 首の顎の下に縦に2本の襞が出現する

例えばこの患者さんの場合には、以下のような症状が見られます。 眼瞼下垂の症状

 代償されていれば視機能は一応保たれているのだから手術の必要がない、という考え方もありますが、この場合、眼瞼周辺の筋肉の緊張が高まり、その結果として疲労感、肩こり、頭痛、抑うつ感などが出現し、患者さん本人は非常に辛い思いをします。手術によってそれらの症状が改善するのならば、手術する意味があると考えられます。
 そこで、「代償期」であっても、眼瞼下垂症手術の「相対的適応」と考え、健康保険の範囲で手術を行なうべきだというのが、形成外科における眼瞼下垂の一般的考え方です。

適応

 眼瞼下垂の手術は、先天性で筋肉の働きがほとんどない場合と、後天性で瞼の開閉自体には支障がない場合とで大きく異なります。
 当院では、先天性の一部のものを除き、基本的に眼瞼挙筋短縮前転法を基本とした術式を用いています。
 症状により、腱膜のタッキングのみを行ったり、眼輪筋・脂肪組織の切除を追加したりしますが、保険適応となる症状であれば術式によって費用が異なることはありません。 
(手術に際しては美容的な側面にも十分注意を払いますが、重瞼幅等の細かなご注文には一部応じかねる場合もあります。)
 先天性の場合でも、いくらかでも筋肉の働きがあれば、通常はまず「挙筋短縮前転法」が適応になります。しかしこの方法で効果がない場合は「吊り上げ法」による手術が必要となります。

前転法と短縮法

 一部の患者さんの間に、前転法は眼瞼挙筋を切り取らないので安全だが、短縮法は筋肉を切り取って捨ててしまうのであぶない、という間違った情報が流布しています。

 私の方法は短縮前転法と名付けていますが、これは前転した結果短縮もされるためこう呼んでいるにすぎません。患者さんは「術式の名前」に騙される傾向がありますが、実際には同じ名前の手術法でも医師によって細部は少しずつ異なり、「術式の名前」はあまり意味がありません。これは次に述べる「松尾式(松尾法・信州大学方式等々)」でも同じです。

手術法について
  1. 術前に椅子にかけていただき、写真撮影とマーキングをします
  2. 手術台に仰向けになり、顔の消毒をします
  3. 顔の上に、目の部分だけ丸い穴の開いたシーツをかけます
  4. 片方ずつ(通常は右から)計測してインクで印を付けます
  5. 目尻側の皮膚の表面から徐々に内側に向けて麻酔の注射をします
  6. 印を付けた部分の皮膚をメス切開し、必要な幅を切除します
  7. 眼輪筋と瞼板前組織を睫毛の生え際近くまで切除します
  8. 切開線の上下に糸を掛けて手術部位を展開します
  9. 眼窩隔膜と眼瞼挙筋の接合部を見つけ、位置を確認します
  10. 必要であれば隔膜を切開し、結膜と眼瞼挙筋を剥離します
  11. 眼瞼挙筋を必要なだけ前転して瞼板に縫合します
  12. 目の開き方を確かめてから、切開部を連続縫合します
  13. 通常はガーゼとテープで厳重に圧迫固定して終了します
術後の経過とケアについて
  • 手術当日は顔を洗えません
  • コンタクトレンズは約2週間お休みいただきます
  • お渡しする内服薬は必ずすべて飲みきってください
  • アイメイクは抜糸まで1週間程度お休みください
  • 当日よりも翌日の朝の方がまぶたは腫れます
  • 保冷剤などで患部でなくその周囲を冷やしてください
  • マッサージやエステは腫れが引くまで行わないでください
  • むくみをとる目的での利尿剤の服用は逆効果になります
  • 翌日に診察を受けて異常のない事を確認させてください
  • 腫れや傷跡の赤みは人により数ヶ月続く場合があります
  • タバコは傷の治りを極端に遅らせますのでお勧めしません
  • 食事の制限はありませんがアルコールは控えてください
  • 腫れが引くと二重の幅は徐々に狭くなります

いわゆる信州大学方式(松尾式)の手術について

 一部の患者さんの間に、症状や原因に関わらず、いわゆる「松尾式」手術が「最も良い方法である」という迷信のようなものが流行し、その結果特定の医療機関がひどく混雑したり、未熟な技量の医師が「松尾式」をうたって患者を集めたりしているようです。
 私の考えでは、信州大学方式はその診断方法や考え方に特徴があるのであって、手術法自体は全国各地でふつうに行われている方法と比べて特に変わったものではないというふうに認識しています。
 大半の後天性眼瞼下垂は、ある程度経験を積んだ形成外科医であればまずまずの手術結果を出せるものだと考えます。
 むしろ、術後のケアやテーピングなど、手術以外の細かな点が手術結果を左右しますので、忙しすぎる医療機関や遠くて通いにくい病院は避けるのが賢明です。まず近くのお医者さんに相談しましょう。何か些細なトラブルがあったときに、すぐに診てもらえるというのが一番大切な点だと思います。

麻酔について

 瞼の手術は、開き具合や形の調節が重要なウエイトを占めるため、局所麻酔の注射で行います。
 痛くない麻酔を目指すため、医師によっていろいろな方法が工夫されていますが(瞼の裏側「結膜側」に最初に針を刺す方が痛くないとか、目頭に最初に針を刺した方が痛くないとか、点眼「目薬」麻酔を先にするとか、麻酔薬にアルカリ性の薬品を混ぜるとか、細い針を使うとか、自動注入器を使うとか実に様々)、私は私なりのノウハウを持っており、いろいろな美容外科を渡り歩いた患者さんに聞いたところでは、かなり痛みの少ない方であるらしいので自信を持っています。
 ただし、何度も手術を繰り返して傷になっている方や体調・皮膚の状態によっては、やはり痛みは避けられません。一般に手術を繰り返すほど痛みも腫れも増す傾向にあるので、できる限り1回の手術で結果を出すように心がけています。

なお、麻酔の量が少ないから腫れない、というのは俗説でありあまり根拠がないと思っています。しっかりと麻酔をして痛くない手術をしましょう。

眼瞼下垂症手術の実際

以下の症例写真は、昨年手術をした患者さんからご承諾をいただいて掲載するものです。

手術の結果には個人差がありまた、同じ患者さんの左右の瞼でも筋肉の発達や組織の厚さなどにはかなり差があります。従って、実際には1回の手術で完全に左右差を解消する事はかなり難しく、再手術が必要となる事もあります。しかし、術後の安静が保て、経過が良ければ、以下のようにかなり早期に腫れが引いて日常生活に戻れます。

術前
術前開瞼 術前閉瞼

上の写真で解説した患者さんの写真です。目を閉じても左右差があるのがわかります。右も軽度の眼瞼下垂ですが、今回は左瞼のみの手術を行ないました。

術後(翌日)
術後開瞼 術後閉瞼

手術翌日に一旦テープを外した際の写真です。しっかりと瞼の筋肉を前転しているので、目が閉じにくく、また開いた時は睫毛が上を向くほど吊り上がっています。

術後(4日目)および 術後(7日目:抜糸直後)
術後開瞼 術後開瞼

4日目には腫れてはいますが異様な感じはなくなってきています。眉も下がってきました。

右は7日目抜糸直後の写真ですが、左が眉を上げなくても楽に開くようになったため、両側の眉が下がり、今まで目立たなかった右の眼瞼下垂が顕在化してきました。

術後(18日目)
術後開瞼

術後約2週間半、18日目です。まだ腫れていますがむしろ手術した左側の方の眉が下がり、反対に手術していない右の眉が上がってきました。

術後(3ヶ月目)
術後開瞼 術後閉瞼

術後3ヶ月目の診察の際の写真です。ようやく左目もしっかり閉じられるようになりました。 腫れも引いて左右の大きさもほぼ揃いましたが、わずかに右側の方が眉が上がり、瞼も下垂しています。

術前と術後の比較 (写真にカーソルを合わせると画像が変化します)

術前開瞼 術後開瞼

3ヶ月目の時点での比較です。まだこれからも腫れが引いて傷も目立たなくなって行きますが、大まかな腫れはほぼ落ち着いてきました。左側の術前の写真にカーソルを合わせると、術後との比較ができます。右側の写真では、術後に瞼がきれいに閉じている事が確認できます。

(睫毛)内反症(逆まつげを含む)

 いわゆる逆まつげに関しては、上瞼の場合、重瞼埋没法に準じた術式と、切開法に準じまつげの方向を変える術式を症状にあわせて行っています。
 下瞼に関しては、原則として切開法で行います。

 お子さんの場合、10歳以上程度であれば局所麻酔(切開法)で行うことができます。埋没法は中学生以上でないと難しいようです。老人性の場合、ゆるんだ瞼板を固定する必要があることが多く、下眼瞼の下垂症手術に準じた方法をとることがあります。

外反症

いわゆる兎眼、あかんべえ状態を改善する手術です。他院での美容手術や腫瘍切除などで眼瞼の皮膚が足りなくなった場合は植皮が必要なこともあります。瞼を支える靱帯や腱板がゆるんだ場合は、筋肉の引き締めだけでなく軟骨移植等が必要になることもあります。

眼瞼けいれん

症状により挙筋短縮で改善することもありますが、場合によりボトックス注射や眼輪筋の部分切除などを必要とします。当院の医師は眼瞼けいれんのボトックス治療に関する資格を有しています。

他院手術後の傷跡修正など

引きつれなどが残り、機能的に障害を残すものは健康保険の対象となりますが、小さな傷痕や審美的な悩み(重瞼幅の左右差など)は保険の対象とならず自費治療になります。美容外科の項をご覧ください。

瞼の腫瘍(できもの)、傷痕

瞼のできもの(黄色種、汗管腫、皮様嚢腫など)やほくろは、切り取ると変形を残しやすい場所だけに、形成外科的な治療が必要となります。また、けがの痕、水疱瘡の痕などの瘢痕も手術によってかなり目立たなくなります。傷痕の修正は場合により保険適応となる場合と難しい場合があります。ご相談ください。

重瞼手術,その他の瞼の手術

除皺術、まぶたの形の修正など美容的なものは 美容外科のページを参照してください。

耳介・鼻の手術

耳介形成手術(袋耳、スタール耳、折れ耳等の形の修正)

 耳の軟骨の形成異常のうちで、保険が適用される耳介形成手術の対象となっているのは「耳輪埋没症」と規定されています。
この他の形態異常も重症の場合は「耳介形成異常」として健康保険を適用して差し支えないとは思いますが、明確に規定されていないためグレーゾーンで、保険者の考え方によっては保険適用を拒否される場合もあります。
いずれも軽度のものは保険の適応にならないこともあります。
立ち耳は日本の場合、文化的社会的に許容度が高く、一般に社会生活上著しい不都合があるとは考えないため、通常は健康保険の対象となりません。

手術料片側26,000円〜30,000円前後
 軟骨形成を伴う場合、軟骨移植を伴う場合は手術料はもう少し高くなります。
 → 自費治療費についての説明

適応:

 いわゆる袋耳(コップ耳、折れ耳、埋没耳など、形によって様々な呼び方がある)は、軟骨の発達が悪く十分に展開されなかった場合が多く、従って正常側に比べて耳自体も小さいものです。小耳症のごく軽度のものと考えてもよいかもしれません。この種の形成異常には「スタール耳(対耳輪に第3脚があるもの)」なども含めて考えてもよいと思われますが、健康保険上は明確な規定がありません。
 立ち耳は、生まれつき耳介を後方に引っ張って寝かせる筋肉の発達が悪く、また軟骨がうまく折り畳まれずに対耳輪の形成が悪いという二つの特徴を持っています。平らに広がって見えるので、耳自体は比較的大きく見えます。両側の立ち方が大きく異なる場合もあります。 これも形成異常の一つとする考え方もありますが、今のところ保険適応は難しいと思います。

小耳症(二次修正)

肋軟骨移植を必要とする手術は全身麻酔が必要となり、入院設備のない当院では行えません。耳の形の修正、脱毛、その他の二次的なトラブルは対応可能です。ご相談ください。

副耳、先天性耳瘻管等の先天性のもの

形成外科ではこうした耳の形の異常も扱います。後者は小学生ぐらいになって膿が出るなどのトラブルを起こすことも多く、可能ならば早めに手術をお勧めします。

ピアストラブル、ピアス耳切れ

軽度のものは内服薬と皮膚科的処置で治まることもありますが、不良肉芽が生じたり、ちぎれてしまったものなどは、手術が必要となります。二つに切れた耳たぶを元の丸い形に戻すのは簡単ではありませんが、切開のデザインを工夫することにより、ほぼ元通りの形にできます。ケロイド体質の方を除き、傷痕もほとんど目立たなくなります。
(ピアス穴あけ、穴塞ぎなど美容的なものは → 美容外科

耳垂粉瘤、ケロイドなど

耳のできものは大きく分けてこの二つが代表的ですが、治療方針は大きく異なります。どちらも手術になりますが、ケロイドの場合、手術後に長期間のケアが必須です。場合により内服薬、注射、装具など様々な治療法を組み合わせます。

鼻形成手術

(鼻尖・鼻翼縮小等の美容的な相談は → 美容外科

唇裂鼻などの形の修正には軟骨移植や唇の手術を伴うものも多く、術後の長期間のフォローが必要ですが、当院では細かな修正にもできる限り応じております。

その他の手術

臍形成

いわゆるデベソは臍ヘルニアと呼ばれる状態であることが多く、診断がつけば健康保険で手術することが可能です。盛り上がっているところを切り取るだけでなく、筋膜を寄せて閉じる操作が必要で、形をよく仕上げるためには適切な皮弁を選択する必要があります。術後長期間の受診が必要になります。

乳頭形成(陥没乳頭など)・副乳切除

陥没乳頭は授乳障害が予想される場合、健康保険の適応となります。乳管を傷つけないように延長し、形のよい乳頭を作成するのは比較的高度の技術を要します。当院では症状によりいくつかの術式を選択し、あるいは組み合わせて治療を行っています。

副乳は意外に多い先天性の疾患で、脇の下から腹部にかけての乳房のライン上に生まれたときからあります。無症状のことも多いのですが、生理の周期にあわせて腫れたり痛みを覚えることもあります。通常は健康保険の適応で手術的に切除します。

(乳頭縮小等の美容的なものは → 美容外科

腋臭症

健康保険では事実上、皮弁法のみが適応になると考えてよいでしょう。また実際にほかの術式では効果が乏しく気休め程度の結果に終わることが多いようです。ボトックス注射が効果的であるかのような宣伝がなされていますが、当院では注射はあまり効果がないものと考え、行っておりません。

陥入爪・巻き爪

軽症であれば、皮膚科的な方法で改善することができます。感染を繰り返す、肉芽ができる、などのやや重症なものの場合、手術がもっとも確実です。簡便にはフェノールで爪の基部を腐食させる方法が行われます。高度な巻き爪は、一度爪を抜いて爪の床に当たる皮膚を平らに形成する方法で、正常に近い形に戻すことができます。この方法は非常に有効ですが、足の親指の場合、しばらく痛みがあり歩きづらい期間が2週間程度続きます。

静脈瘤

重症のものは入院の上ストリッピング手術が必要となりますので、当院では原則として行っておりません。軽症のものであれば、部分切除の組み合わせやレーザー等で治療が可能です。保険適応となるかどうかは症状と治療法の組み合わせによって異なってきます。

他各種手術。

あざのレーザー治療

単純性血管腫(赤あざ)

生まれつきある平らな赤あざ。健康保険適応ですが、面積により治療費が決まっています。数回の治療でかなり薄くなります。しかしあざの性質上、完全に消えるとは限りません。大人になると部分的に盛り上がってくることがあり、お子さんのうちに治療した方が成績はよいようです。

苺状血管腫(盛り上がった赤あざ)

生まれて数週間目ぐらいから急速に盛り上がってくる赤あざです。いろいろな治療法がありますが、最近ではレーザー治療が主流です。治療開始は早ければ早いほどよく、見つけ次第、できれば盛り上がる前に治療するのが原則です。この原則は、今から15年ほど前、当院院長が冨士森形成外科勤務時代に学会発表していますが、未だに放置をすすめる小児科医・産科医もいます。

毛細血管拡張(赤ら顔など)

顔面や体などにある毛細血管は通常目に見えませんが、拡張して皮膚全体が赤みを帯びたり、あるいは細い糸くずが絡まり合ったように目に見える状態になることがあります。保険適応でレーザー治療できることはあまり知られていませんが、数回の治療でかなり改善します。ただし、症状により再発することもあり、通常長期の加療が必要となります。

太田母斑とその類症(顔の青あざ)

太田母斑は主に額から目の周囲、頬にかけての青あざで、通常は片側ですが、両側に出ることもあります。ルビーレーザーのよい適応で、保険治療が可能です。数回の治療でかなり改善します。根気よく回数を重ねることにより、ほぼ完全に消すことができますが、場所によって消えにくさが違い、目の周囲などは長期間の通院が必要となります。

異所性蒙古斑(体の青あざ)

東洋人に多いおしりの青あざと同じものが、体の他の部位にできたもので、おしりと違い大人になっても消えないことが多いので、通常は子供のうちにレーザーで治療します。レーザー後に色素沈着を来しやすく、治療期間は比較的長くなりますが、数回の治療でかなり薄くなります。

扁平母斑(茶あざ)

平らな薄いあざで、いくつかのタイプがあり、中には再発しやすいものもあります。現時点では治療が難しいあざの一つですが、再発を含め2回までは健康保険で治療することができます。

*色素性母斑(黒あざ)

平らな大きな黒子の様な黒あざです。レーザー治療も可能ですが、現在のところ健康保険の適応にはなっていません。大きなものは切除やドライアイス治療、いくつかの種類のレーザーを組み合わせて治療します。手術がもっとも確実ですが、ある程度の傷が残ってしまいます。